著者

高岳史典

P&G出身者が2社目で失敗する理由とは。日本企業と外資系企業の違いも解説

2021/08/25 10:10

#05

メインコラム「銀行とP&Gとライブドアとラムチョップ」

─7度の転職を経験し、そこから起業した筆者が、その過程で体験・体感してきたことのなかから、皆様のお役に立つのではという“エッセンス”を記していきます。成功、失敗、転職、組織、人間関係、仕事観や人生観など、ビジネスにおける知恵、または知恵に昇華できそうなコンテンツにしてお届けするので、ぜひご一読ください。

転職についての考察編 

前回から続く「転職」についてのお話です。

その1:『転職と天職』(前回)
その2:『日本企業?外資系企業?』(今回)
その3:『パラレルワーカーの3つの要諦』(次回)

今回は2回目!

『日本企業?外資系企業?』

最近ベンチャーを起ち上げたこともあって、20代の若い方、もっと言うと学生の方なんかとお話しする機会が増えました。
そんな時によく相談されるのが、転職するなら(あるいは就職するなら)どんな会社がいいでしょう?という話。

安易な転職というのはオススメしないというの前回も記しましたが、それでも転職(あるいは就職)をすると言う前提で、会社というものを大きく二つ、「日本企業」と「外資系企業」に分けてお話ししたいと思います。

「日本企業」と「外資系企業」と大きく括ってもその括りの中でもいろいろ違いはあるじゃんというご指摘はあると思うんですが、自分自身それぞれを経験し、かつそれぞれで働く友人知人たち接するにつれ、まずはこの括りで最も大きな違いが出ると思っています。
なのでそれぞれの特徴を、これまた主観的に綴ってみます。主観的と言いつつ、いつものごとく皆様の幾ばくかの参考になればと願いつつ。

まずは「日本企業」。

(1)    なんだかんだ言っても年功序列、終身雇用

日本企業は、いわゆるバブル期の1980年代に隆盛を極め、世界中に日本的経営なるものが注目されました。SONYの盛田会長(当時)の名著『MADE IN JAPAN』が発刊されたのも1990 年の1月です。

MADE IN JAPAN(メイド・イン・ジャパン)─わが体験的国際戦略

その頃、日本企業の特徴として挙げられていたのが、年功序列と終身雇用でした。

その後、バブルが弾け、失われた10年(あるいは20年、あるいは30年?)が進むにつれ、今度は日本企業の成長力を削いでいるのがこの年功序列あるいは終身雇用だと言われるようになり、以来、悪弊として取り上げられることが多くなりました。

そんな流れを受けて、最近の日本企業では、この年功序列や終身雇用をなくそうと動きもあるかと思います

ですが…現実的にはいまだ残っていると考えて戴いてよいかと思います。しかもわりとガッツリと笑。

即ち、日本企業の特徴は、特に外資系企業と比較した場合、相変わらず年功序列であり、終身雇用なのかと。

年功序列を経験してない方からすると、それってどんなものか想像が難しいかもしれませんが、端的に言うと先に入社した人の方が偉い、年が上の人の方が偉い、ということになります。(80年代とかは日本企業では中途入社より新卒入社の方が圧倒的に多かったため「先に入社した人」=「年が上の人」という図式がほぼ成り立ちました)

で、ここでいう「偉い」っていうのはどういうことかというと、2つあって、

・役職が上
・給料が上

ということであります。

で、これがその会社にいる限り続くと。

逆に言うと、その会社で歳を重ねていけば、ある程度のポジションとある程度の給与が保証されているという事でもあります。
後で記す外資系のように突然報酬がものすごく上がるということがない代わりに、たとえ僅かでも年々上がっていく、少なくとも下がることはないという、ある意味非常に安定した給与体系です。

このような体系だと、先が読める(先輩の状況をみてるとわかる笑)ため、将来設計がとてもしやすくなります。
将来的に家族を持って、家を買ってと考えていた場合に、歳をとるにつれて役職や給与が上がっていくっていうのは非常に生活計画が立てやすかった。
実際、「いつかはマイホーム」「いつかはクラウン(トヨタの車を入門グレードから乗り継いでいつかは最上級車であるクラウンにステップアップしていくという意)」なんて言葉もありました。

これはまさに年功序列の社会を前提とした話であったと思います。
そしてこの年功序列的な制度っていうのは、2021年のいまでも、まだまだ色濃く日本の会社に残っています。なんだかんだ言われつつも。

終身雇用に関して言えば、何が良いかというと突然クビにされない。突然辞めろと言われない。日本企業に入ってしまえば、そう簡単には辞めさせられることはないのです。今でも。

もちろん、日本が法律的に従業員が手厚く守られているということはあります。
でも、これは日本にいる限り外資系企業にも適応されること。
それでも日本企業の方が圧倒的に「意図せず辞めさせられる」リスクは少ない。
労働団体の存在とかもありますが、何よりカルチャーの問題だと思われます。

ということは…
ある程度の給料をもらいながら長く勤めることができるって言うのが、昔も今も、日本企業の大きな特徴じゃないかと思います。

 

(2) なんだかんだ言って手厚い福利厚生

最近ですとGoogle等の新興企業で、例えば食事が無料であるといった制度が話題になったりしますが、そもそも日本の特に大手の企業に勤める方からすると、そのような制度はとっくにあって、あまり驚かないんじゃないかと思います。

タダとは言わないまでも、格安でしっかりした食堂が付設されていることは珍しくなく、それどころか会社によっては保養所とか別荘とか、中には接待用の料亭を持っている会社もありました。(さすがに最近は料亭はほぼないかもですが)

住環境についても、社宅や寮の制度が充実していたりします。
これも最近は昔から比べると減ったという事ですが、その代わりに持家促進という名のもとに低利の融資が受けられたりします。

あとは日本の会社特有の会社同士の持ち株なんかもあって、例えば飛行機を株主優待で半額で乗れちゃうとか、いろんな場所に格安で入れるとか。

即ち、給与以外の部分で、社員の日々の生活を豊かにしていくための福利厚生がやはり充実しいるんじゃないかと思います。今でも。(但し、福利厚生については大手と中小で大きく差があります)

 

(3)    日本の会社であること

おそらくこれを読んでくださっている方の多くが、日本で生まれて日本で育った(あるいは少なくとも多くの時間を日本で過ごしてきた)日本人じゃないかと思います。

日本語を主たる言語として、これからも主に日本で暮らしていくというならば、日本の会社で働くと言う事は圧倒的にメリットです。

この点について、特に若い方はあまり意識せずに、「グローバリゼーション」なる言葉のもとにP&GやGoogleといった大手外資系企業に理由もなく惹かれていたりしますが、そもそも日本は数ある世界の国の中でGDPでみると第3位の経済大国です。
ここ10年(あるいは20年、あるいは30年?)冴えないといっても、それでもいまだに世界経済に与える影響は絶大です。

そんな日本に本社を置く日本企業に、日本に住みながら、日本語を母国語として、入社して活躍するチャンスがある。これってすごくないですか?

*余談ですが、グローバルを連呼する割に、英語は喋れない(努力もしていない)、海外に居住する気はない、といった若い人、結構目に付きます、はい笑

日本企業に入って、その中で出世し、権限を得ていくということは、即ち、自分の力で会社を成長させる、あるいは会社の力を自分の力として行使できる範囲が大きくなるということです。

日本の企業の社長はそのまま社長です。
一方で外資系企業の日本の社長は支社長です。

日本人として、日本の企業で勤めるということが、いかに素晴らしいアドバンテージかということはぜひ頭に入れて戴きたいと思います。


翻って、「外資系企業」。

(1) 思った通り、能力主義、成果報酬なこと

これはもう言われている通り。
成果を出せば基本的に評価される。Job Descriptionとして仕事の職掌範囲も明確になっており、その中でどのような成果を上げればどのような評価をされるかというところまで明確な会社が大勢です。

さらに、当然ながら年齢や性別は問われませんので、評価されるハードルさえ超えていけば、どんどん出世していくことができるし、それに伴う報酬も得ることができます。
20代にして、マネージャーやそれ以上のポジションを得ることも全く夢ではない、と言うより全く普通であります。

例えば新卒で入れば、多くの場合同期の日本企業の友達と比べると、自分の方が給料が高くなるということになるかと思います。

一方で、能力主義ということは、失敗すると如実にポジションを外されたり減給をされたりします。さらにそれが続くと、あからさまに退職を促されます。

もちろん外資系企業といえど、日本の雇用の法律にのっとらなければならないわけですが、ここでは日本企業のところで書いたのとは逆のカルチャー、即ち、「Up or Out(昇進するか会社を去るか)」により、極めて居づらくなるのです。

そう考えると外資系企業というのは、ポジションあるいは報酬を得る場としては文字どおりハイリスクハイリターンと言えるかと思います。
これは一般的に言われているイメージと変わりませんね。


(2) 思いの外、政治的(Political)なこと

へ?能力主義なのに?と思わるかもしれません。

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