著者

佐渡島庸平

「問い」があると、企画はおもしろくなる。

2021/09/16 01:05

「企画」とは何なのか?

すごく雑に定義すると、企画は面白みがあり、人を巻き込める「仮説」だと思う。

そして、企画にも、仮説と同じように、いい「問い」が必要になる。すぐにでも解きたくなる「問い」を含んでいる「仮説」が「企画」だ。

先日、『世界の果てまでイッテQ!』のプロデューサーの人と話す機会があり、「問い」の面白さが企画をよくするのだと改めて感じた。

イッテQといえば、民放バラエティのなかで屈指の人気番組だが、番組開始当初はうまくいかなかったらしい。

当時の放送内容は、世界の秘境に出向き、現地でビックリするものを見つけて、スタジオにいる人たちにクイズを出すというものだった。問いは、最後に見つけるものだった。ただ、その構成だと、秘境めぐりの旅番組にクイズ要素が少し加わったくらいで、視聴者の興味を惹きつけることができずにいた。

それで、「問い」を先に考えて、その答えを探るために現地に出向くという構成に変えた。すると、番組の人気が上がっていったという。

追い詰められた企画会議の時に、「東京タワーって、いくつのボルトでできてるんだ?」という問いが湧き上がった。そして、それはどれだけ検索しても、詳しい人に聞いてもわからない。自分で、実際に現地に行って、目でみて、めんどくさがらずに調べないとわからない。問いを探す様子ではなく、視聴者も知りたい問いを解く様子が面白いのではないか。

そんな風にして企画会議が盛り上がり、他にも「ホタルイカの光で勉強できるのか?」「宝石は買うのと探すのどっちが安い?」といった問いが生まれた。

出演者も視聴者も答えがわからず、問いについて一緒に考えていく。「問い」を企画の頭に打ち立てたことで、イッテQは人気番組へと変わった。

このイッテQの「問い」は、インターネットの外にある。

いい「問い」とは、まだ誰も解こうとしたことがない問いだ。

いま、インターネットで検索をすれば、何らかの答えが見つかる。答えがみつからない問いを立てる。問いを使って、インターネットの外に出て、現実を観察する。誰も解いていない問いを考えているとき、僕らは夢中になるし、世間もそれに興味を持つ。そして、その問いを解くことがきっかけで、ネットの中にはその情報が溢れる。

いい企画は、ネットの外にあり、ネットの中の拡張する。

これは、マンガや小説の企画でも同じことが言える。
いい作品には、いい問いが必ずある。

『宇宙兄弟』であれば、「絆」だ。

連載を開始する前、小山宙哉が考える「いい絆」とはどんなものか教えてほしいと問いかけた。ムッタとヒビト、ムッタとシャロン、ヒビトとアズマ。色んな形の絆が描かれている。

いま振り返ると、問いが普遍的すぎて、つい解きたくなる問いと普遍的な問いの組み合わせの方が、企画としては強かったと思う。宇宙飛行士が主人公という設定は、時代と合致しているけど、そこに問いはない。『宇宙兄弟』の面白さは、ネットには答えが載っていない「絆」というものに対して、小山宙哉の実感が描かれているからに尽きる。

いい問いは、「もしも」を考えていると見つかることがある。

『インベスターZ』は、もし高校生が部活でファンドを運用していたら、どうなるのか? 『ドラゴン桜2』では、もし入試制度が変わると、桜木たちはやり方をどう変化させるのか? そんな「もしも」から問いが生まれ、物語が生まれている。

インターネットで調べたときに、何もヒットしない。それは、マーケティングの場合、可能性が少ないことを指すのかもしれないが、創作の場合、無限の可能性があることを意味している。

問いによって、ネットの外に出たい。
それが最近の僕の欲望だ。

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