著者

茂木健一郎

バランスをとるために必要な知恵、それが「和」だ

2021/12/02 09:08

 近年の世界の歴史から私たちが学んだのは、イデオロギーはあまり役に立たないということではないか。

 もちろん、一つのヴィジョンとしては、イデオロギーはあり得る。「自由競争」という考え方や、「平等」ということ、あるいは「権利」は、決して否定できるものではないし、人類にとって大切な価値である。

 しかし、「自由競争」、「平等」、そして「権利」は、それが無制限に認められてしまうとなにかバランスが崩れてしまう。ましてやそれにこだわって、反するものを排除していってしまうと、社会システムがうまく機能しなくなってしまう。

 大切なのはバランスであり、中庸である。何事も行き過ぎてしまうと、かえって災厄をもたらす。さまざまなことが並立してこそ、私たちの生きる現場が保たれる。

 そもそも、生命というものは中途半端なものである。一つの価値観やイデオロギーでは割り切れないからこそ、さまざまな生きることのあり方があるし、変化にも適応できる。

 バランスこそが大切だというのは、一人ひとりだけでなく、人間関係においてもそうである。

 しばしば、私たちは対立する。仲違いの原因は、ささいなことである場合もあるし、根本的な世界観の差に基づくこともある。

 しかし、意見が異なるからと言って、決裂してしまってはいけない。お互いに口を聞かなかったり、コミュニケーションが途絶えてしまうようなことになると、いろいろな弊害が生じる。

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