著者

茂木健一郎

“人間関係をフラットにとらえる”ことが生み出す価値

2021/09/22 09:42

 現代において成功している人たちの共通点として、「フラット」に人間関係をとらえているということがある。

 とりわけ、インターネットの中で個人として脚光を浴び、フォロワーも多く、いわゆる「インフルエンサー」として注目されている人々のほとんどは人と人との関係をフラットにとらえる傾向がある。

 例えば、堀江貴文、西野亮廣、ひろゆきといった人たちが、ここで言う「人間関係をフラットにとらえる」人たちの代表例である。

 ここに、フラットに人間関係をとらえるとは、肩書とか、社会的地位とか、学歴などで人を判断しないということである。あるいは、ジェンダーや年齢でも決めつけないということである。

 あくまでも、ひとりの人間としてとらえ、その人の持っている属性を認知し、どのようにコミュニケーションをとり、関係性を結び、かけあわせていけば最大の効果、利益、たのしみが生まれるかを判断する。そのような態度こそが、現代社会における活躍、輝きをもたらすものと考えられる。

 そして、人間関係をフラットにとらえるということは、実は、最も「インテリジェンス」が必要とされることでもあるのである。

 もし、他人のことを肩書や学歴で判断するのならば、それ以上関心を持つ必要はないし、あまり頭を使わなくてもいい。

 例えば、「あいつは○○大卒だから」とか、「彼女は部長だから」というようなステレオタイプで人を判断し、そのように振る舞っていれば事が済む時代もあった。実際、未だにそのような古い価値観から抜け出られない人たちもいる。

 一方で、相手がどんな人であれ、その人の持っている属性、可能性、長所、欠点をありのままに見ることができる人もいる。そのような人間関係をフラットにとらえる人にとっては、肩書や学歴は参考になるパラメータの一部分ではあっても、そのすべてではないし、主要な部分でもない。

 現代における中心的な価値の一つは「ネットワーク」である。ネットワークを通してさまざまな個人や要素が結び付けられることによって、付加価値が生まれ、仕事や人生が進んでいく。

 その際、最も重要なのはチームワークであり、チームを構成するメンバーの個性や資質、能力や志向性がどのようにかけ合わせられるかである。学歴や肩書などの従来型の価値は、その際の参考になる場合もあるが、多くのケースでは邪魔になる。むしろ、構成員の本質を見極めることを妨げる、「反インテリジェンス」の原因にすらなりかねない。

 だからこそ、従来型の枠組みにとらわれずに、一人ひとりの人間をありのままに見ることが大切なのである。

 「マインドフルネス」は、情報過多の現代において、さまざまな要素をとりあえず価値判断なしでそのままとらえることであり、インテリジェンスの大切な部分となる。相手をありのままにとらえる「対人マインドフルネス」は、チームワークを構築する上で大切な対人認知の核心となる。

 堀江貴文、西野亮廣、ひろゆきといった人たちと場を共にしたときに印象的なのは、そこにいる人を見たり、誰かが話すのを聞いたりするときの彼らのまっすぐな目線である。極論を言えば、あたかも小学生のように事前の思い込みやとらわれがないかたちで相手を見ているような気がする。

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